COP9声明
京都議定書の発効・実施と
地球レベルの長期的な枠組みの議論を!



2003年12月12日(イタリア:ミラノにて)

地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)




 気候変動枠組条約第9回締約国会議(COP9)は、ロシア連邦の批准が遅れ、京都議
定書の発効にめどがたたないなかで開催されたため、京都議定書の発効と実施に向け
た各国の対応が注目された。さらに、マラケシュのCOP7からの宿題とされていた「ク
リーン開発メカニズムの吸収源プロジェクトの実施ルール(sink CDM)」についての
合意をつくることが課題であった。

 マラケシュから2年間かかった「sink CDM」の交渉はこのCOP9でようやく合意に達
した。これで、マラケシュからの宿題はすべて片付き、京都議定書の発効と実施に向
けての障害はなくなった。

 このCOP9で、多くの締約国が京都議定書を早期に発効させることの重要性を確認し
たことは、すでに120カ国が京都議定書を批准していることとあわせて、京都議定書
こそが温暖化を防止する唯一の国際的な枠組みであることを改めて認識させた。世界
の市民と国際社会の意思は明らかであり、ロシア連邦は早急に京都議定書を批准すべ
きである。

 フランスで1 万人もの死者を出したという欧州の熱波、中国南東部の大洪水、南欧
や北南米での山火事など、地球温暖化は現実のものとなりつつある。地球温暖化の急
速な進行は、全締約国に地球温暖化防止の緊急の行動を要請している。締約国会議
は、緊急の行動と地球レベルの長期的な枠組みの議論を早期に開始する必要がある。
こうした議論で重要なのは、長期的な視野に立つとともに、早い段階で温室効果ガス
を大幅に削減する必要があることを認識することである。また、科学性と衡平性をそ
なえた論理的ルールに基づく制度設計こそが多国間交渉の合意を可能にし、長期的な
制度を保障する。そして、そのベースとなるのは京都議定書でなければならない。

 条約事務局の報告書によれば、2001年における経済移行国を除く日本などの先進国
の温室効果ガス排出量は1990年比で7.5%増加してしまっており、2010年の排出予測
では17%増加するとされている。先進諸国の温暖化対策は極めて不十分であり、具体
的な対策を早急に実施すべきである。

 2004年11月-12月にアルゼンチンで開催されることになったCOP10が、京都議定書の
第1回締約国会合(COP/MOP1)として、議定書の実行と将来の枠組みづくりに向けた
着実な歩みを始める会合になることを強く期待したい。


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