COPMOP3 通信2
(2007年12月7日)
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議論は水面下に
12月3日に会議が始まって5日目に入りました。様々な論点についてコンタクトグループがつくられ、
その多くが私たち環境NGOなどのオブザーバーが参加できない会議や非公式の交渉(インフォーマル
コンサルテーション)に入っています。12月5日から開始されたこうした会議は、主なものだけでも
以下のとおりです。
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先進国の削減目標について話し合う特別作業グループ(AWG)
A
京都議定書9条の議定書の見直し
B
条約の下での長期的な共同行動についての対話の継続問題(ダイアログ)
C
適応基金、適応に関するブエノスアイレス作業計画
D
ナイロビ作業計画(気候変動の影響、脆弱性及び適応の5ヵ年作業計画)
E
炭素回収貯留技術(CCS)のクリーン開発メカニズム(CDM)事業
F
途上国の森林減少の問題
G
技術移転
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バリマンデートに関する議論
こうした会議のうち、今回のバリ会議の最大の焦点である2013年以降の削減目標と制度枠組みに直接
関係するのは@からBです。もちろん、他の議題も、2013年以降の削減目標と制度枠組みに関する議
論と微妙に関連しています。
今回のバリマンデートの交渉での実質的な論点のひとつは、@からBの議論をそれぞれ独立で進める
のか、それとも相互に関連させて進めるかということです。
先進国は、このバリマンデートで途上国、とりわけ排出量の多い中国やインドの何らかの参加(削減
に向けた行動)の約束をさせたいと考えており、@からBの議論を関連した形で進めたいと考えてい
ます。これに対し、新たな義務を負うこと、とりわけ削減義務を負わされることに警戒的な途上国は、
@からBをそれぞれ独立したプロセスにすることを主張しています。
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先進国の削減目標について話し合う特別作業グループ(AWG)
AWGは、議定書のもとで行われており、議定書を批准した先進国の将来の削減などについて議論するプ
ロセスです。AWGのコンタクトグループでは、12月5日に議長から2009年までの会議のおおまかな日程や
作業内容についての案が出されました。日程では、2008年6月に第5回AWG、8月か9月に第6回AWGの第1回
目の会合を、12月に第6回AWGの再開会合を開催し、削減手段や幅などについて検討する提案です。12月
6日は、さらに2009年までの詳細な作業計画が示されたようです。
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京都議定書9条の見直しに関する議論
Aの京都議定書9条の議定書の見直しについてのコンタクトグループは、公開で行われました。昨年のナ
イロビでのCOPMOP2では、第2回目の見直し作業を来年のCOPMOP4ですることを決めています。今回のバリ
会議では、来年のCOPMOP4で議定書の何を、どのように見直すのかが議論されています。先進国は、「危
険でないレベルに温室効果ガス濃度を安定化させる」という条約の目的を果たすためには、現在議定書
のもとで削減義務を負っている先進国だけではなく、より多くの国が何らかの削減をすることが必要と
の認識にたち、見直し作業での議論を途上国の参加に結び付けようとしています。逆に途上国は、この
議題のもとでは、2013年以降の議論より現在の条約や議定書の実施状況についての見直しを進め、先進
国が途上国に対する資金や技術移転などの義務を履行しているかどうかを検討すべきだとしています。
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条約の下での長期的な共同行動についての対話(ダイアログ)の継続問題
対話は条約のもとで行われており、条約のみ批准して、京都議定書を批准していない国も参加して将来の
対策について「対話」するプロセスです。このコンタクトグループも12月5日は公開で行われ、議長から、
検討すべき事項として、4つのブロックが示されました。
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緩和(削減)
A
適応
B
技術
C
投資とファイナンス
また、今後の議論のスケジュール案として、3つのオプションが示されました。
@
京都議定書の下での議論を2009年までに結論を出し、条約のもとでの対話については2010年までに結論
をまとめる。
A
京都議定書の下での議論も、条約のもとでの対話についても、2009年までに結論をまとめる。
B
京都議定書の下での議論と条約のもとでの対話をひとつのプロセスとし、2009年までに結論をまとめる。
このうち@が中国などの主張を反映させたもので、Aが先進国などが支持しているプロセスです。コンタクト
グループでは、アメリカもAのプロセス案を支持しました。
この議長案をもとに非公開のコンタクトグループの議論が続けられています。
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日本がまた化石賞を受賞
4日に1位〜3位までを独占した日本ですが、5日も日本が受賞しました。今回は2位です。受賞理由は、COPMOP
の総会でクリーン開発メカニズム(CDM)の議題を議論している時に、炭素回収隔離技術(CCS)や原子力がCDM
事業として認められていないことについての不満を表明したことです。原子力は、他の環境破壊を起こすなど
多くの問題があるため、マラケシュ合意(議定書の運用ルールについての合意)で、その使用を控えるべき
であることが明言されています。日本の発言は、マラケシュで合意したものを再度議論しなおせということ
になります。また、CCSについては現在CDMの議題の中でこれを認めるべきかということについて議論してい
ますが、まだ認められていません。CCSはまだ不確実な技術であり、多くの環境NGOはCDM事業として認める
ことについて反対しています。
◆ シロクマを救え
12月6日午後1時、会場の正面玄関前で、自然エネルギー市民の会とCASAで、「Rescue
! the Polar Bears .
Stop global warming!(白クマを救え!地球温暖化ストップ!)」のパフォーマンスを行いました。エコリーグ
の糸岡さんと石黒さんがシロクマとペンギンのぬいぐるみを着て、暑さで倒れてしまったのを、みんなで扇子
であおいでレスキューしました。日本のマスコミだけでなく、海外のマスコミも多く取材してくれました。
◆ 会場から
とにかく暑い。朝から30度を超えています。今雨期だそうですが、あまり雨は降りません。現地の人も今年
は雨が少ないと首を傾げています。バリは日本人も多く訪れることもあるためか、街の人たちも、タクシー
の運転手さんも、警察官も、みんな「おはよう」とか、「疲れてますか」とか、「ありがとう」とか、結構
上手な日本語で話かけてきます。みんな親切で、朝、散歩していて「おはよう」というと、はにかんだよう
な笑顔を浮かべて、挨拶してくれます。まちじゅうに花があふれており、少し大きな桜のような赤い花のプ
ラムボヤンド、白い可憐な花を咲かすカンボジャ、沖縄にも咲いている赤いデイゴの花などが目を楽しませ
てくれます。物価も安く、暑さを除けばなかなか住みやすいところです。