COPMOP3 通信1 2007124日)                            

◆ COP13、COPMOP13始まる                      

 123日、インドネシアのバリのヌサドゥ(Nusa Dua)の国際会議場でCOP13COPMOP3が始まりました。
今回の
COP13COPMOP3の最大の任務は、2013年以降の削減目標と枠組みについて、交渉期間を2009年末
までとすることを明確にし、それに至る具体的な作業計画を内容とするバリマンデートに合意することです。  

 123日の午前中は、COP13COPMOP3の総会(プレナリー)が開かれ、COPMOP3の総会でオーストラリアが
議定書を早急に批准し、
2050年までに60%削減すると発言し、大きな拍手がわきました。

 一方、COP13の総会で日本が、日本が法的拘束力のない次期枠組みを模索しているような趣旨の発言をし、
さっそく世界の
NGOから疑問の声が上がっています。

◆ 京都、モントリオールそしてバリ

 200712月京都で合意された議定書は、運用ルールの合意を経て、20052月にようやく発効しました。

 京都議定書は2008年から2012年までの先進国の排出削減目標を法的な義務としていますが、2013年以降の
削減目標については何も決めておらず、京都議定書39項は、第1約束期間の終了する2012年の7年前の2005
年から、2013年以降の議論を開始することを求め
いました。

 200511月にカナダ・モントリオールで開催されたCOPMOP1では、京都議定書の運用ルールであるマラケ
シュ合意を採択するとともに、
2013年以降の枠組みの議論に関する行動計画(MAP)に合意しました。

 この行動計画では、次の3つのプロセスを進めていくことになっています。

 1つ目は、京都議定書を批准した先進諸国の2013年以降の削減義務に関する議論を進めるプロセスで、
特別作業グループ(
AWGを設置して討議することになりました。この議論は第1約束期間(2008年〜
2012年)と2013年から始まる第2約束期間の間に空白を生じさせないよう進めることになっています。
(議定書
39項の議論)

 2つ目は、現在の議定書を見直し、2013年以降の制度・枠組みについて議論するプロセスです(議定書9
の議論)。この
9条の議定書レビューのプロセスについては、COPMOP2で次の見直しをCOPMOP4で行うことに
なりました。

 3つ目は、気候変動枠組条約の下でアメリカなどの京都議定書を批准していない国も参加して開催される
「長期的協力のための行動に関する対話」ダイアログと呼ばれている)のプロセスです。ダイアログ
については、アメリカの意見で、この対話が「
新しい削減目標などの約束に繋がるものではない」との
条件が付いています。

 これまで、特別作業グループ(AWG)はこれまで4回、ダイアログも4回開催されました。特別作業グル
ープ(
AWG)の4回目は前半と後半に分かれており、4回目の後半はこのCOPMOP3のなかで行われることに
なっています。

◆ COP13COPMOP3の任務

 COPMOP3の任務の第1は、2013年以降の削減目標と枠組みについて、交渉期間を2009年末までとすること
を明確にすること
です。これについては、
今年6月のドイツのハイリゲンダムG8サミットや、10月にイン
ドネシアのボゴールで開催された閣僚級の準備会合*1でほぼ総意になっていますが、正式の交渉プロセス
である
COPMOPで明確な合意にすることが必要です。

 また、どのようなテーマについて、どのような内容について、どのようなスケジュールで議論を進める
のかについての合意をする必要があります。

 CASAは、2013年以降の削減目標は1約束期間の削減目標を大幅に上回るものでなければならず、その
制度設計は、国別総量削減、法的拘束力、遵守制度などの京都議定書の基本的構造を引き継ぐものでなけ
ればならないと考えています。また、世界の平均気温の上昇を工業化(
1850年頃)から2℃未満にすること、
2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を半減し、先進国は6080%程度の削減することを長期目
標として確
認し、それから遡って2020年、2030年などの中期的な目標を議論し、さらに当面の目標を議論
すべきだと考えます

 交渉プロセスについては、現在の京都議定書の下での先進諸国の削減の議論(AWG)を先行させることが、
2008年のCOPMOP4で予定されている議定書9条に基づく議定書の見直しの議論や、条約の下での対策促進の
議論を進めることになります。

 また、条約の下でのダイアログ(対話)については、アメリカなどの京都議定書の非批准国も参加する
もので、新たな枠組みとして継続すべきです。
123日のCOP13の総会では、条約の下でダイアログ(対話)
に代わるAWGについて検討するコンタクトグループ*2の設置が決まり、1211日までに結論を出すことにな
りました。

*1 「気候変動に関する非公式閣僚会合」が、10月、インドネシア・ボゴールで開催された 

*2 議論がわかれるなどした特定のテーマについて適宜設けられるグループ

◆ 日本の提案に強い反発

 3日のCOP13ダイアログ(対話)についての議論のなかで、日本政府は、京都議定書の下で先進諸国の
削減について議論している現在の
AWGと並行して、条約の下にイアログ(対話)に代わるAWGを設置すべ
きだという提案をしました。日本政府は10月のボゴールの会合において、「京都議定書の下でのプロセス
(AWG)」と「条約の下での
イアログ(対話)」の2つのトラックをいっしょにしたプロセス(1トラック)
を提案*3しましたが、各国から反対され、2トラックに戻ったのは歓迎すべきことだと思います。

 しかし一方で、発言のなかに、「次期枠組みは世界のすべての国が意味のある参加をする新しい議定書
にすべき」とか、法的拘束力のない枠組みを提案していると思われる内容があり、環境
NGOのなかでも強い
反発が出ています。早速、124日付けのECOに「日本は京都議定書をスクラップにしようというのか?」
という記事が掲載されました。

日本政府の提案するセクター別削減目標や、各国が自由に目標を設定するプレッジ&レビュー方式では
気候変動に対応できないことは、気候変動枠組条約のプレッジ&レビュー方式での「約束」を、ほとんど
の先進国が守れなかったことから明らかです。

*3 外務省 気候変動に関する非公式閣僚会合10月23〜25日、於インドネシア・ボゴール概要と評価 

◆ 日本が化石賞を独占

124日の化石賞は日本が、1位、2位、3位を独占しました。

1位の理由は、123日のCOPMOPのプレナリーで次期枠組みに法的拘束力のない枠組みを提案したこと、

2位の理由は、京都議定書10周年を自ら冒涜しようとしていること、

3位の理由は、アメリカ、カナダと一緒に実施に関する補助機関の議題の採択を妨害していること

 

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